町工場IoT化のきっかけを作った製造グループ渡邊成雄さん(枚岡合金工具特集Vol.2)
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町工場IoT化のきっかけを作った製造グループ渡邊成雄さん(枚岡合金工具特集Vol.2)

ものづくり新聞

編集部は大阪府大阪市生野区にある冷感鍛造金型製造・枚岡合金工具を取材しました。(特集Vol.1)工場見学の様子はこちらをご覧ください。工場見学の後、インタビューのために編集部チームが案内されたのはこの建物。外からの見た目ではこの中には工作機械があるのかと思ったのですが、

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なんとおしゃれな食堂が出現!その名も「cafe Hiraoka」。ランチタイムにはみなさんこちらでお弁当を召し上がるのだそうです。

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この食堂で、編集部は町工場IoT化のきっかけを作ったという方にお話をお聞きしました。製造チームの渡邊成雄(わたなべしげお)さんです。

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ーー枚岡合金工具さんに入社された経緯を教えてください。

もともと歯科技工士として働いていたのですが、辞めた後、大阪ポリテクセンター(職業能力開発促進センター)で研修を受けていた際に、その職場体験で訪れたのが枚岡合金工具でした。そのまま入社しました。

ーーえ、職場体験で訪れただけですか?

ポリテクセンターとしては研修を受けている人を就職させたいと考えています。職場体験と言いながらも、就職紹介のようなところもあり、暗黙のプレッシャーがあったのかもしれません(笑)

ーーものづくりの仕事がしたいと思ったのはなぜですか?

たまたまテレビで痛くない注射針を作っている工場の話を見たことがきっかけで、ものづくりっていいなあ、携わりたいなあと思うようになりました。

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ーー入社したあとどうでしたか?

職場体験のときはふつうに仕事をしていました。フライス加工をしていました。なので入社しても違和感はありませんでした(笑)

ーー枚岡合金さんが取り組んでいる3S活動はどうお感じになられましたか?

床は綺麗だなと思っていました。ただ、ポリテクセンターで教育を受けていた私からみると、まだまだ改善できるところがあるなと感じていました。たとえば、軍手を工作機械に置いたままということもありました。私にもまだできることがあるんじゃないかと感じました。

ーー入社後、IT関係の取り組みに関わられたきっかけはなんだったのでしょうか?

枚岡合金は「3S委員会」という取り組みがあり、委員長の役目が順番に回ってきます。入社して2~3年後に自分が3S委員長を任されていた頃は、個人でやっていたものをチームで、その改善活動の視える化をKaizencという仕組みをITを用いて3Sを行いました。その時にIT担当とよく絡むようになりました。

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 *kaizencという改善活動視える化のツール画面

ーーそのあたりからIT担当のみなさんとコミュニケーションをとるようになっていったんですね。

サバゲーってありますよね?サバイバルゲームです。好きな人で集まってどっかの山奥に行ってやっていたんです。そこにIT担当の方も来ていました。だんだん距離が縮まっていきました(笑)

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ーーそんなIT担当の方々と3S活動に取り組んでおられたんですか?

そうです。私が3S委員長のときには、この活動を通じていろんな人と喋ってもらい、コミュニケーションの幅を広げようとしていました。自分たちの部署だけの業務改善ではなく、チームになって何か成し遂げてもらうことに重きを置いていました。

ーー具体的にどのような取り組みをされていたのでしょうか?

北工場の2階にある「3Sパーク」というのをみんなで作りました。年に1回など時々しか使わないけども廃棄するわけにはいかない道具や消耗品をまとめて、2階のスペースに新しい保管スペースを作りました。これが3Sパークです。

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ーーどんなふうにチームを編成されたのですか?

4チームに分かれていて、それぞれのチームには違う事業部や営業を入れるようにしました。女性も女性で固まらず分かれてチームに入ってもらいました。

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ーーそのチームで共同作業されたのですね。

たとえば、ラベルを貼るというときに、パソコンで書いてプリンタで印刷してラミネートするということをするわけですが、その作業はITを担当している人が得意なわけです。しかし、私たち製造メンバーもそれをIT担当の人から教えてもらって、できるようにしたんです。逆に、IT担当の人たちにも鉄に穴を開けるなどの作業を体験してもらって穴あけくらいであれば自分たちでもできるようになってもらったりしました。

ーーお互い得意なことを教え合うということですね。

そうやってみんなのレベルを上げていきました。そういう取り組みのおかげで壁がなくなっていったのだと思います。

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ーーそのあたりから渡邊さんから改善の要望をIT担当の方々に出すようになったのですか?

枚岡の3S活動はアナログなものが殆どです。自分からIT担当の方々に要望を出すという形ではなく、"誰いつメモ"の投稿の中(社員の要望)から出たものをIT担当の方々だけではなくチームで、改善を行うスタイルです。Kaizencという仕組みも最初は手探り状態で、定着は出来ていませんでした。IT化の壁を感じた瞬間でもありました。

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ーー金型製造側だけではなく、ITも一緒に考えるということですね。

そうです。その後、「3Sサミット」(3S推進協会主催)に参加したのですが、そのときに次はIoT、次はAI、その次はDXという講義を受けたんです。その講義のときにソニーのクーブ(ロボット・プログラミング学習キットKOOV )というものを知りました。

ーー子供向けのプログラム学習の道具ですよね。

はい、実際にそれでどんなものができるのかって自分で調べたんです。光が通ると光センサーで検知できる、というようなことを知りました。

ーーそれを使ってどういうことをしようと思われたのですか?

ちょうどそのときに当時工作機械を補助金で導入したんですけども、社長や役員から「ちゃんと使われているのか」と質問が飛んできたんです。じゃあそれを見える化しようとしたんです。センサーを工作機械につけて、稼働している時間を自動的に記録できるようにしました。すると、ブラウザで簡単に確認できるようになりました。

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ーーしかしご自身でプログラムを試してみられたのですね。すごいですね。

製造グループであっても、ITのことをある程度は知らないといけないと思っています。IT担当の人たちにとっては、「ITがあるから何でもできる」って誤解はされたくないんだろうなと感じていました。また、現在アナログな方法でできていることをデジタル化し活用するという流れがあるんじゃないかとも感じています。

ーーいきなりデジタルではなく?

これ今困っているからITでなんとかして、という依頼の仕方ではなく、いまアナログでこういう業務があるから、それをデジタル化したら便利なんだけど、みたいな依頼の仕方です。そうじゃないと、たとえばせっかく機能は作ったけれどその機能が使われないのって寂しいじゃないですか。私もものづくり側ではありますが、せっかく作ったものが使われないって寂しいですよね。

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ーーおっしゃる通りだと思います。

たとえばランプの光をセンサーでとるとしても、センサーにはタイムラグがありますし、何秒刻みで取ればいいのか、となるとITの方々ではわからなかったりするんですよね。そういうところは製造側じゃないとわかりません。

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ーー今後の取り組みについて教えてください。

工作機械の中に温度センサーをつけて、中の温度を測定しているんです。温度が変化すると熱膨張というのがあります。精度を出そうとすると温度の影響を考えなければなりません。試しに温度センサーで測定したところ、1日の中で時間帯によって温度変化があることがわかりました。人が出入りすることで工場の中の温度が変化していたんです。みんなが出社する朝8時半から10時の間にグラフが上昇していました。

温度センサー天井

*工作機械の天井に設置した温度センサーの例

ーーこのデータを使って工程を変えるんでしょうか?

このデータをもとに、精度の必要な部品は温度変化の少ない時間帯にやろう、ということができるようになると思っています。大企業の工場は結構空調をがっちり管理しているので問題にならないのかもしれませんが、小さな建屋で仕事をしている私たちは外部の影響を受けやすいんです。いかに高い工作機械を購入しても温度変化には勝てないですよ(笑)

枚岡合金工具株式会社
本社所在地  大阪市生野区巽中2-7-22
代表取締役会長 古芝 保治
代表取締役社長 古芝 義福
会社HP  枚岡合金工具株式会社


編集後記

渡邊さんは今後温度センサーで取得したデータと精度の関係の相関をとり、工程管理に結びつけていくことで工作機械の精度と稼働率を改善していくということでした。結果がわかりましたらまた取材させていただきたいと思います。

どの会社でも製造部門とIT部門をどうやってつないでいくのかという課題はあるものと思います。その壁をどう乗り越えてIT利活用を進めていくのか、いろんな町工場の方々の参考になるお話だと感じました。







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