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ものづくり企業での外観検査は自動化されていく

検査工程というのはものづくり企業にとって大切な工程の一つですが、この工程を自動化したいというニーズが高まっています。

2021年版ものづくり白書によれば、測定・検査作業は5年後に「デジタル技術に代替される」と回答した割合が最も高い作業です。切削作業が11.3%、電機・電子組立が10.2%という割合なのに対し、測定・検査は20.2%となっています。突出していますよね。

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検査の中でも外観検査はカメラ撮影などの画像処理で行われることが多く、富士経済の調査によれば、とくにディープラーニング活用型画像処理ソフトは2023年に685億円と2019年と比較して14.3倍になると予想されています。画像処理を活用した検査アプリケーションも順調に成長すると予想されています。

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検査といってもいろんな種類がありますが、とくに最近技術が進んでいるのが、インライン外観検査というものです。量産工程のラインの中で検査する検査方法のことをインライン検査と言っています。昔は量産工程でのインライン外観検査は人の目による検査と抜き取り検査が主流でした。抜き取り検査ではたまたま抜き取った製品が良品でもその他の製品に不良がある可能性があります。また、とくに中小企業の方々が検査担当者を常時配置して対応することはなかなか大変なのだろうと思われます。検査担当者がお休みのときでも誰か代わりに検査できる人を常に確保しておく必要がありますよね。

そこで、なんとかインライン外観検査を自動で全量検査でできないか、ということが追求されてきました。

全量検査が大変なのは、量産工程のタクトタイムに合わせて検査できないといけない、というところです。もし量産工程のスピードより遅い検査スピードだと、検査工程がボトルネックになってしまい、検査工程の前に在庫が積み上がってしまいます。このあたりについてはキーエンスさんのホームページに詳しく記載されています。

このスピードアップに寄与しそうな技術がAIによる画像処理です。AI技術全般が進化したことにより、ディープラーニングによる画像処理の性能がここ数年で格段に向上しました。このため、冒頭にお話ししたように、市場が急拡大しているわけです。

ところが、AI技術を持つ会社と検査機器を開発する企業は別であることも多く、最適なインライン外観検査装置を開発しようとすると自社でがんばって構築する必要がありました。しかし、次第にそれらを融合した仕組みを開発する企業が現れてきました。

たとえば、2018年版ものづくり白書に登場するのは東京都八王子市にある株式会社ミラック光学さんです。検査のためのステージやレンズなどとAI技術を組み合わせたソリューションを提供されています。

検査装置として装置、カメラ、AIソフトウェアなどを一体として開発しリリースされているのが株式会社ロビットさんです。ハードウェアとソフトウェアを融合させたものづくりを志向するロビットさんはTESRAY Sシリーズという名称でAI外観検査ロボットをリリースされています。詳しくは私たちが取材していますのでご覧ください。

このようなソリューションがどんどん市場に出てくれば、インライン外観検査の自動化が進み、実際に"測定・検査作業は5年後に「デジタル技術に代替される」"時代が来るのではないかと思います。

この課題について、皆さまのお考えやご経験などがありましたらコメントでもお寄せいただければと思います。実際の現場の皆さまからのお話をぜひ伺いたいと思います!

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