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【2021年6月号】月刊ものづくり新聞

ものづくり新聞は製造業の方々向けにインタビュー記事を掲載しているWebメディアです。とくに中小ものづくり企業でお仕事されている方々にDX、IoT、IT化や改革改善のお役に立つ生の情報をお伝えしています。

2021年5月のインタビュー記事まとめ

5月は4名の方々のインタビューを掲載しました。新型コロナの影響もあり、キヨヒデガラス工房のインタビューだけはギリギリ訪問取材ができましたが、それからはオンラインでのインタビューとなりました。

現場を重視するものづくり新聞編集部としては辛い時期なのですが、オンラインでもよい取材ができるよう、編集部一同工夫しながら記事をご提供していきます。

江戸切子の伝統工芸士がマーケティング(キヨヒデガラス工房 清水秀高さん)

江戸切子の伝統工芸士でありながら、LINEやYoutubeを活用したマーケティング活動を積極的に進めている清水秀高さん。未だに”職人は利益度外視していいもの作れ”、”職人は利益に走るとよくない”というイメージがある中、清水さんは、"しっかり利益を出していかないと続けていけない"側面があると指摘します。

さらに清水さんは

現在は人からものを買う時代となりました。そのためには江戸切子というブランドだけではなく、自分をブランドとして発信することが重要です。

と語ります。自分を発信するために、伝統工芸士の側ら、ご自身でYoutube動画を配信し江戸切子の魅力を発信。さらにLINE公式アカウントを作成し江戸切子ファンや工房で江戸切子体験をされた方々を繋いだ情報発信をされています。

私は、"自分をブランドとして発信"は職人の方だけではなく、あらゆる業界業態の方々が今後必要になるスキルではないかと考えています。清水さんの一言に自分たちも考えていかなければと思いました。

詳しくは以下記事をご覧ください。

業務改革を実現するクラウド型手順書プラットフォーム(スタディスト 山下公平さん)

CFO(最高財務責任者)からプロダクト事業責任者に転身し、クラウド型手順書(マニュアル)作成プラットフォーム「Teachme Biz」を推進されている山下公平さん。

スタディストはもともと業務改善コンサルタントの方々で創業された会社でした。業務改善のためにシステムのためのマニュアルが大きいファイル何冊分にもなっていて、知りたいことがあっても広げて見るだけでも一苦労、という課題があったそうです。それを解決するために開発された"Teachme Biz"は今や製造業だけではなく小売業やサービス業など幅広い業界で利用される仕組みとなりました。しかし、山下さんはさらにユーザーの方々に「生産性向上のために手順書やマニュアルを使って欲しい」と訴えます。

良いツール、機能があってもそれを提供して終わりというだけでは、業務効率化や生産性向上にはなかなか結びつかないこともあるんです。そこでお客様へ直接機能を説明することはもちろんのこと、導入計画やマニュアル浸透のためのお手伝いをさせていただいております。

このプラットフォームに限らず、継続的な顧客接点を持ち満足度を維持することが重要だと考えます。カスタマーサポートやカスタマーサクセスといった取り組みを製造業向けの製品・サービスでも強化していく取り組みが増えていきそうです。

ちなみに、山下さんによれば、マニュアルが必要なタイミングは3H(サンエイチ)だそうです。詳しくは以下記事をご覧ください。

ものづくりを正しくブランディングし世界に発信!製造業向け技術検索エンジン『ManuTech』(グローバライズ 日比章善さん) 

製造業に特化した技術検索エンジンを開発する日比章善さん。

かつてiPodに使われていた裏面の曲面金属部品を新潟県燕三条の金属加工業の会社がありましたが、その会社もAppleが発掘しなければ注目されることはなかったかもしれません。そのような例を挙げながら、日比さんは"素晴らしい技術があっても埋もれている製造業の市場価値を高めたい"と訴えます。

元々の構想は、製造業のBtoBマッチングプラットフォームを提供したいというところですね。そう考えたきっかけは良いものづくりや素晴らしい技術を持った製造業さんが埋もれているなと感じたことです。そして更にその技術をただ世に出すだけでなく、ブランディングして市場価値を高めることで、技術と人や企業と企業がマッチングするサービスを提供したいと考え、このManuTechを始めました。

"グローバルなプラットフォームとしてManuTechを世界中の人が技術を探すために使って、きちんと技術に辿り着ける世界を作る"を目指し、AI技術や最新のIT技術を活用しながら技術情報特化の検索サービスを立ち上げておられます。すでに200万点以上の技術が登録されているそうです。

詳しくは以下記事をご覧ください。

AI外観検査ロボット"TESRAY Sシリーズ"開発、そして未来へ(株式会社ロビット 新井雅海さん)

東京都板橋区でメカ、エレキ、ソフトウェアを融合した新しいものづくりを進めている新井雅海さん

一言でいえば「AIを使い高速に外観検査を行うロボット」を開発しているということなのですが、これまで色んな人に相談しても検査現場が諦めていた検査を可能にしたというロボットです。世界に数多ある検査機器会社が取り組んでいる分野ではありますが、新井さんはその領域にブレークスルーをもたらしています。

検査現場のニーズに徹底的に対応した結果、量産時のタクトタイムの制約に合う検査時間を達成しようとされています。そのためにロボットの制御を工夫したり、画像判定するソフトウェアも工夫したり、そしてAIを活用したりさまざまな工夫をしています。その点について、私が印象に残っている新井さんの言葉があります。

ここ数年のAI技術のめざましい進歩が土台になっているのは間違いないと思います。当然、自動車の部品をメインでやられている検査機メーカーさんもいらっしゃいますが、まだAI技術にうまく取り組めていない場合や、取り組めていてもAI専門の会社とコラボしているケースなどがあるようです。現場に立たせていただいて感じるのは、取ってつけたようなやり方ですと、現場の厳しい要求にはとても応えられないということです。AIもハードウェアも究極的に最適化して、両面の良いところを活かせるようなUIや機能を実装できる高度な装置である必要があります。それら全てを最適化できるような会社はロビットの他にない、というのが大きな理由だと考えています。

「究極的に最適化」というところに新井さんのこだわりが感じられます。さらに、

”社内で一番難しい部品を持ってきました!”とおっしゃるお客様が多いのですが、今まで検査できないという部品はひとつもありませんでした。お客様も驚きつつ、じゃあこんなこともできそうだねという話に広がることも多いです。

というあたりに新井さんたちの技術に対する自信が感じられます。

そして、なぜこんな会社が生まれたのか、どうして外観検査のブレークスルーに取り組もうとしたのか、というあたりはぜひ記事本編をご覧いただければと思います。


編集部メンバーが個人noteも配信しています。

編集長伊藤は"ものづくり新聞編集長の備忘録"というタイトルでものづくりに関わることやそうでないこともつぶやいています。

記者の中野は"取材B面"など裏話を発信しつつ、個人的な話題もつぶやいています。

PR/マーケティングの井上も最近noteを始めたそうです。

2021年6月予定

石川県の「三谷産業」さんが北九州市「クアンド」さんの開発した遠隔作業支援ツールを活用し、空調設備現場のDXを実現している事例を近々に公開予定です。

また、愛知県刈谷市で脅威のDX経営を推進されている部品加工業「テルミック」さんの取材が終わりました。社長・田中さんのバイタリティと、社員の方々との和気藹々とした雰囲気が伝わる面白いインタビューとなりました。

さらに、今後中国の製造DX事例、インドネシアの日系企業、中小企業での生産管理システムの取り組みも取材予定です。

編集後記

グローバライズ日比さんを取材した時に、

FintechとかEdutechなどの言葉はあるのに製造業はないのでManuTech という言葉を作りました

というお話がありました。日本はものづくりに強い国、と言われていましたが、ITを活用するという面では他の業界に比べると遅れているのかも、と考えた一言でした。

しかし、そのような情報を発信するメディアはすでにあるんです。ものづくり(製造業)向けのポータルサイトやニュースサイトを編集部で改めて調べてみたのですが、正直こんなにあったんだ、と思います。以下記事を見てみてください。確かにこんな記事があったなと感じる方も多いと思います。

ものづくり新聞はこの中に埋もれることなく、独自の取材で本当にお役にたつ情報を発信していきます。