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ものづくりインタビュー

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ものづくりの現場で、改革/改善に挑戦されている人たちに、その取り組みのストーリーをリアルに語っていただくインタビューです。同じように改革/改善に取り組まれている方、そしてこれから… もっと読む
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#伝統工芸

夫婦の出会いが“柄と繪”の出会い。 山謙木工所 山本卓哉さん 山本由麻さん

福井県越前市の伝統的な産業の一つに、「越前打刃物(えちぜん うちはもの)」があります。南北朝時代、京都のある刀匠が現在の越前市に移り住み、農民のために鎌を作ったことからはじまったといわれています。その後、1538年には専門の打刃物業者が現れ、鎌を製造したという記録が残っています。江戸時代に入ると、商工業者の同業者組織である株仲間が組織され、その技術が受け継がれていきました。(越前打刃物について詳しく知りたい方はこちらから) 農具の機械化により、鎌から包丁へと作るものを変えな

なぜ『RENEW福井』は日本トップクラスの産業観光イベントに発展したのか?(運営する「人」編)

今回は、福井県鯖江市・越前市・越前町で開催される、持続可能な地域づくりを目指した産業観光イベント「RENEW(リニュー)」の運営「体制」とその中の「人」に迫るインタビューです。 今回の取材は、2022年3月、コロナの影響により約半年遅れで開催された「2021年度のRENEW」を訪問した際、出展者・来場者を問わず、RENEWに集まった多くの人たちが心からイベントを楽しむ様子に、我々が大変感銘を受けたことをきっかけに実現しました。 前編の『運営の「体制」編』では、産地のサポータ

私の手でグラスがもっとかわいくなる 世界に10人しかいない平切子の世界に飛び込んだ 椎名切子 石川 美幸さん

ものづくり新聞は、東京都江東区の椎名切子(GLASS-LAB株式会社)さんを訪れました。椎名切子は、1950年に椎名 三男(しいな みつお)さんが同地で創業した「椎名硝子加工所」の流れを汲み、三男さんの孫にあたる椎名 隆行(たかゆき)さんが2014年に創業したガラス加工専門店です。主に、平切子(ひらきりこ)、砂切子(すなきりこ)、カスタマイズグラスなどの企画・制作・販売を行っています。 平切子とは? 砂切子とは? 隆行さんの父・康夫さんは平切子、弟・康之さんはサンドブラ

システムエンジニアから鋳造の道へ 新たな「吹き分け」を研究 般若鋳造所 般若雄治さん

今回編集部が訪れたのは富山県高岡市です。富山県の北西部に位置する高岡市は、市内の西側には山があり、北東側には富山湾が広がる自然に恵まれた地域です。市内には高岡大仏や金屋町の街並みなど歴史深い場所でもあります。ものづくりの観点から見ると、伝統工芸の高岡銅器に代表される鋳物(いもの)の生産が盛んな地域です。 高岡銅器とは 銅器とは、その名の通り銅を材料とする器具や道具のこと指します。鍋や釜などの容器以外にも、仏具、農具、火鉢、銅像なども含めて銅器と表すことがあり、高岡市で作ら

「真似する側に回るな、真似される側でないとだめだ」 漆琳堂 内田徹さん

寛政5年(1793年)から200年以上続く越前漆器を製造販売する株式会社漆琳堂の代表取締役 内田徹(うちだとおる)さんと職人の嶋田希望(しまだのぞみ)さんにインタビュー取材させていただきました。福井県鯖江市・越前市・越前町で開催された産業観光イベント「RENEW2021」の直前のインタビューとなりました。 漆琳堂さんの越前漆器工場見学 インタビューの前に、越前漆器工場を簡単に見せていただきました。 漆を塗る前の工程に「下地」という工程があります。木から器の形になった白木地

家で使ってもらえる和紙が漉きたい 滝製紙所 瀧英晃さん

越前和紙の伝統工芸士である株式会社滝製紙所の瀧英晃(たきひであき)さんにお話をお伺いしました。福井県鯖江市・越前市・越前町を中心に開催された産業観光イベント「RENEW2021」の直前に取材させていただきました。 滝製紙所は1875年に創業し、越前和紙の大紙を製造しています。機械漉きもされていますが、手漉き和紙では各種襖紙や全国唯一の襖判”檀紙(だんし)”等を製造されています。檀紙は楮(こうぞ)を原料として作られた縮緬状のしわを有する高級和紙のことです。大きさがイメージしに

創業60年超の美容鋏メーカーに就職したものづくり女子の現在地 菊井鋏製作所 生馬千加さん(菊井鋏製作所 特集2)

和歌山県和歌山市にある有限会社菊井鋏製作所は、美容師向けの鋏を製造している会社です。 代表取締役の菊井さんへのインタビューはこちらからご覧ください。菊井さんの想いや、これからの展望について語っていただきました。 磨いて光る金属っておもしろい!シリーズ第二弾に登場していただくのは、菊井鋏製作所で鋏づくりを担当している生馬千加(いこま ちか)さんです。 ーー生馬さんは京都伝統工芸大学校のご出身と伺いました。 そうです。彫刻や木工芸など様々ある中から、金属工芸を専攻していま

「間口は狭く、奥行きは広い」そんな美容鋏メーカーになりたい 和歌山から世界に美容鋏を届ける 菊井鋏製作所 菊井健一さん(菊井鋏製作所 特集1)

皆さんはどのくらいの頻度で髪を切るでしょうか。 美容室や理髪店に行かれる方も多いと思いますが、美容師さんが使っている「鋏(はさみ)」に注目したことはありますか? 美容師の方々の商売道具である「鋏」を製造している有限会社菊井鋏製作所を尋ねました。本社工場があるのは、和歌山県和歌山市の昔ながらの長屋が多いエリアです。 美容師さんの商売道具 「鋏(はさみ)」菊井鋏製作所の鋏作りは、溶接から始まります。はじめは上の写真のように、鋏のパーツが分かれています。溶接するのは、それぞれの