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ものづくりインタビュー

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ものづくりの現場で、改革/改善に挑戦されている人たちに、その取り組みのストーリーをリアルに語っていただくインタビューです。同じように改革/改善に取り組まれている方、そしてこれから… もっと読む
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#福井県

夫婦の出会いが“柄と繪”の出会い。 山謙木工所 山本卓哉さん 山本由麻さん

福井県越前市の伝統的な産業の一つに、「越前打刃物(えちぜん うちはもの)」があります。南北朝時代、京都のある刀匠が現在の越前市に移り住み、農民のために鎌を作ったことからはじまったといわれています。その後、1538年には専門の打刃物業者が現れ、鎌を製造したという記録が残っています。江戸時代に入ると、商工業者の同業者組織である株仲間が組織され、その技術が受け継がれていきました。(越前打刃物について詳しく知りたい方はこちらから) 農具の機械化により、鎌から包丁へと作るものを変えな

勇気を出してありのままの「木地」を見せたことで、自社製品開発が始まった 井上徳木工 井上孝之さん

漆器製造の世界は、「木地」「下塗り」「上塗り」など複数の工程が必要です。「越前漆器」の産地である福井県鯖江市は、昔から工程ごと別の職人や会社が担当する“分業制”で漆器を製造してきました。その中のひとつに「木地(きじ)」を作る工程があります。木地とは、漆を塗る前の白木のままの木材や器のことを指します。 今回は木地のなかでも、「角物(かくもの)」と呼ばれる重箱や小箱などの四角い木地を製造している有限会社井上徳木工の代表、井上 孝之(いのうえ たかゆき)さんにお話を伺いました。井

たったひとりのスピーカー製造メーカー 理想の音を追い求めて マール・サウンドシステムズ 斉藤マールさん

コンサートや舞台で欠かせない機材のひとつ「スピーカー」。そのスピーカーをなんとたった1人で製造している方がいると聞きつけ、福井県越前市を訪れました。マール・サウンドシステムズの斉藤マールさんは、コンサートやイベントのPAエンジニア*として活動しながら、スピーカーの製造を行なっています。 一般的に、PAが使うスピーカーは、スピーカー製造会社が製造しており、スピーカーを「作る人」と「使う人」が異なります。しかし、斉藤さんはどちらもご自身で行っており、“自分で製造したスピーカーを

なぜ『RENEW福井』は日本トップクラスの産業観光イベントに発展したのか?(運営の「体制」編)

今回は2022年10月に、福井県鯖江市・越前市・越前町で開催される、持続可能な地域づくりを目指した産業観光イベントRENEW(リニュー)を運営する「体制」とその中の「人」に迫るインタビューです。 取材のきっかけとなったのは、2022年3月、コロナ禍で延期されながらも開催にこぎつけたRENEWの会場で、ある光景を目にしたからでした。それは、開催前日で準備の真っ只中にある会場の至るところで、20代前半くらいの若い人たちが楽しそうに作業をされている光景です。周囲を延々と続く田畑に

「真似する側に回るな、真似される側でないとだめだ」 漆琳堂 内田徹さん

寛政5年(1793年)から200年以上続く越前漆器を製造販売する株式会社漆琳堂の代表取締役 内田徹(うちだとおる)さんと職人の嶋田希望(しまだのぞみ)さんにインタビュー取材させていただきました。福井県鯖江市・越前市・越前町で開催された産業観光イベント「RENEW2021」の直前のインタビューとなりました。 漆琳堂さんの越前漆器工場見学 インタビューの前に、越前漆器工場を簡単に見せていただきました。 漆を塗る前の工程に「下地」という工程があります。木から器の形になった白木地

家で使ってもらえる和紙が漉きたい 滝製紙所 瀧英晃さん

越前和紙の伝統工芸士である株式会社滝製紙所の瀧英晃(たきひであき)さんにお話をお伺いしました。福井県鯖江市・越前市・越前町を中心に開催された産業観光イベント「RENEW2021」の直前に取材させていただきました。 滝製紙所は1875年に創業し、越前和紙の大紙を製造しています。機械漉きもされていますが、手漉き和紙では各種襖紙や全国唯一の襖判”檀紙(だんし)”等を製造されています。檀紙は楮(こうぞ)を原料として作られた縮緬状のしわを有する高級和紙のことです。大きさがイメージしに